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【5・12】ヤスニITTを<知る>入門講座 第2回

<今回のテーマ>
コレア政権と先住民族運動
資源開発をめぐるエクアドル政治の動向

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※チラシのダウンロードはこちらをクリック

ヤスニITTイニシアティブの意義をとらえて今後を展望するには、エクアドル政治の動向、とくに資源開発をめぐる問題点を整理し、コレア政権と先住民族運動の関係を考察する必要があります。さまざまな新機軸を打ち出すと同時に、コレア政権は従来型の資源開発路線を進めており、石油開発に加えて鉱山開発にも積極的な姿勢を見せています。最近では中国企業との大規模な鉱山開発計画に対して、アマゾンの先住民族が首都キトまでデモ行進をおこない、それを支援する先住民族組織とコレア政権の間で緊張関係が続いています。イニシアティブの重要性は明らかですが、その前途はコレア政権の開発政策に大きく左右されるため、総合的に状況を注視していくことが不可欠です。

ゲスト 新木 秀和さん神奈川大学外国語学部准教授)
専攻はラテンアメリカ地域研究。編書に『エクアドルを知るための60章』(明石書店)、共著に『ラテン・アメリカは警告する』(新評論)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店)、『途上国石油産業の政治経済分析』(岩波書店)などがある。

日時:5月12日(土)15:00~17:00頃
場所:カフェ・ラバンデリア東京新宿区新宿2-12-9 広洋舎ビル1F)
 ※地図はこちらをクリック
 ※参加費は無料ですが、ワンドリンクのオーダーをお願いします。
 ※申し込みは不要。

主催:デ・ヤスニ/ヤスニから考える連続講座
(ヤスニITTイニシアティブ講演会実行委員会から改称)
http://yasuni.blog.so-net.ne.jp
deyasuni■mail.goo.ne.jp(■を@に変えてください)


【ヤスニITTイニシアティブとは】
2007年にエクアドルのコレア政権が打ち出した政策のことです。アマゾンの自然と先住民族の暮らしを守り、地球温暖化抑止に寄与することを目的に、ヤスニ自然保護区内のITT鉱区の地下に眠る石油の開発を放棄する代わりに国際社会が補償金を支払うことを求めています。ITTの石油埋蔵量は8億4,600万バレルと推定されており、この石油を採掘して売れば、エクアドルには72億ドルの収入となります。しかしこの政策では、石油を採掘しない代わりに国際社会にこの石油収入の半分にあたる36億ドルを13年間で拠出することを求め、エクアドル負担分の資金と合わせてエクアドル国内における再生可能エネルギープロジェクトなどに利用することが提案されています。2011年末時点で1億ドルを超える資金が国際社会から寄せられ、現在も資金を募っています。
・国連開発計画のヤスニITT信託基金 http://mptf.undp.org/yasuni 


【「ヤスニITTを<知る>入門講座」とは】
ヤスニITTイニシアティブにまつわる基本的な事柄を知るための講座です。こぢんまりとしたカフェでゲストを招いて話を聞き、一緒に考え、分からないことも遠慮なく質問できる集まりです。南米エクアドルのアマゾンの自然と先住民の暮らしを守る取り組みとしてだけでなく、石油に依存した現代消費社会や従来型の開発援助政策、そして成長一辺倒の経済政策にも一石を投じる大胆な提案として注目を浴びているヤスニITTイニシアティブ。このイニシアティブはどんな背景から生まれ、いかなる手段でどのような未来を目指し、今どんな課題に直面しているのか・・・・・・
エクアドルのことも石油のこともあまりよく分からないという方も気軽に参加して、この新しい取り組みとその舞台となる地域について発見してみませんか。

ヤスニITTを<知る>入門講座 第1回「先住民ワオラニの生活と社会変容」の報告



アマゾンと聞けば、うっそうと茂った熱帯雨林と豊かで珍しい動植物を誰もが想像することでしょう。そんな手つかずの無垢な自然のイメージに、人間の姿は出てこないかもしれません。もしもそのイメージの中に人間が出てくるとすれば、その自然と一体になって暮らし、私たちのような現代社会に暮らす人間とはまったく異なる価値観、生活習慣、言葉を持った人間に違いない・・・。私たちの多くはきっとこんな風に考えるでしょう。

では、ヤスニITTイニシアティブの舞台となるエクアドル東部のアマゾンに住む先住民族はどうなのか。今回第1回目となるヤスニITTを<知る>入門講座は、「先住民ワオラニの生活と社会変容」と題し、ワオラニ居住地域でエコツーリズムに関する調査も行ったラテンアメリカを専門とする文化人類学者の千代勇一さん(上智大学イベロアメリカ研究所準所員)をゲストに迎えてお話を聞きました。

今回の講座では、エクアドルの先住民族に関して簡単に説明していただいた後、ワオラニ族の特徴、キリスト教化や石油開発を通じた外部社会との関係、ワオラニへのエコツーリズムの影響等についてお話しいただきました。

まずは人口ですが、エクアドルの場合、1215万人の国民のうち311万人が先住民族で、そのほとんどがキチュア族(300万人)だそうです。ワオラニ族は約1300~2000人しかいません。かつてはワオラニ族の中でグループ同士の戦争が定期的に起こり、人口は500人程度に保たれていたそうです。しかしキリスト教が入ってきて戦争を禁じ、そのために人口が増えたという側面もあるそうです。

ワオラニはもともと採取狩猟民族で、移動しながら暮らし、長さ3メートルの吹き矢を主に使って動物をとって暮らしていたそうです。槍も猟に使われていましたが、槍は主に人間同士が戦う時の武器だそうです。現在では、猟にショットガンを使う人も少なくないそうです。

服を身につけず移動しながら暮らしていたワオラニも、現在は外部社会から入ってきた服を身につけ、定住して暮らし、狩猟採取よりも農業や漁労に依存する部分が大きくなっています。また、石油会社に雇われて働き現金収入に依存する人も増えているそうです。

ワオラニと外部の接触は、古くは1600年代後半にあったとされ、1875年~1925年のゴム・ブームを経て、1950年代のキリスト教化、1960年代の石油開発ブーム、1970年代以降のエコツーリズムブームと異なる目的による接触が続いてきました。

キリスト教化では、宣教師が布教しながらワオラニの定住化を進めていきました。その後にやってきた石油企業は、自然破壊と健康被害をもたらしただけでなく、彼らを労働者として雇用しました。そこからの現金収入は、ワオラニの人々の暮らしを変えました。森でとれる鳥や動物や昆虫の代わりに、鶏肉、たまご、牛乳を食べるようになりました。草ぶきの家はトタンで造られた家に変わり、伝統的な植物の代わりに医薬品が使われるようになりました。火はライターで起こし、ガスボンベを町から買ってきてコンロで調理している家もあるそうです。また、千代さんの知っているワオラニの人たちはコカコーラも大好きだそうです。このように外部からの物を取り入れ、それらに依存するようになると、物を買うための現金収入は欠かせません。物とそれを買うための現金を得るためには賃金をもらえる仕事が必要になります。それは外部への依存度を高めます。

ワオラニ族に対するキリスト教化プロセスは、1955年からプロテスタント系の夏期言語研究所(SIL)と航空伝道教会による布教活動から始まったそうです。SILは現地語を習得して文法書を作り、現地語での聖書を普及するという活動を行っていた団体です。

1956年にはワオラニとの接触を図った5人の宣教師が殺害されるという事件がありましたが、1958年にワオラニ族のダユマという女性を仲介者として初めて接触が成功しました。

石油会社の介入は、1937年にロイヤル・ダッチ・シェルが石油採掘権を獲得したところから始まりました。しかしこの時は石油探査に失敗しています。1970年代にエクアドルのアマゾンで石油ブームが起こったのは、1967年のラゴ・アグリオで油田が発見されたことがきっかけでした。当初石油開発は国家主導で行われていましたが、1980年代には民間企業(多国籍企業)による開発が進み、アマゾンの環境破壊に対する世論が高まっていきました。このような石油開発に加え、アンデス高地からアマゾン地域への入植者の増加もあってアマゾン地域に住む先住民族の危機感が高まり、先住民族による団体がいくつか生まれました。ワオラニも1990年にはエクアドルアマゾン・ワオラニ民族同盟(ONHAE)を立ち上げています。

ワオラニ居住区におけるエコツーリズムは、1976年にキチュア族と旅行会社の取り決めでナポ川近くに宿泊施設を作ったことが始まりだそうです。その後、外部社会との仲介を果たしたワオラニ女性のダユマもエコツリーリズムを始め、エクアドルの首都キトにある老舗旅行会社もワオラニのコミュニティーと契約をしてツアーを始めました。

エコツーリズムといえば、豊かな自然を見に行く、自然の中で過ごすということが売り物ですが、当初は「未開の先住民」を見に行くという趣向が多分にあったということです。どちらにしても、エコツーリズムも社会変容とは無縁ではありませんでした。観光客は外部からの人間で、その対応にはスペイン語が必要です。ワオラニでもスペイン語が話せる人が優遇され仕事の機会は増え、それによる貧富の格差が拡大しました。また、エコツーリズムの資源となるような動物がいるかどうかによって観光客の訪問が左右されます。集落の間では、その自然環境の違いによって貧富の差が拡大しました。

エコツーリズムの影響は経済面だけではありませんでした。それは、ワオラニの自然観にも影響を及ぼしているそうです。例えばアナコンダという大きなヘビ。ワオラニにとって、それは神聖な生き物でしたが、西洋人観光客にとってはジャングルのエキゾチックな生き物です。その結果、神聖だったアナコンダも、観光客への「見世物」として扱われているところさえあるそうです。

当初ワオラニは、外部の社会とは隔絶した生活を送っていました。つまり外部社会の外に存在し、接触することを拒み、あるいは接触しても外部社会とは相対する位置にいました。しかしそれがキリスト教と石油開発から大きな影響を受けるようになりました。つまりワオラニの社会変容とは、外部社会に取り込まれていくプロセスで生じている、と千代さんは説明します。定住化の促進と戦争の禁止により、人口の増加が起こったり狩猟採集生活持続が困難になったりしました。そしてワオラニの人々が石油開発で現金収入を得るようになると、その社会には現金と交換で外部から物が入ってくるようになり、ライフスタイルはますます変化し、外部への依存度は高まっていきました。

千代さんはまとめとして3つの点を指摘しました。まず、アマゾンは誰のものなのか。「人類の宝」などと私たちは言いますが、その時にそこに住む人々の視点は入っているのか、もしかするとそれはアマゾンで生きてきた人々を無視した外部社会のエゴなのかもしれない、ということです。

そして、外部から開発を押しつけられる一方で、アンチ開発も外部から押しつけられているという点。つまりそれは、自然破壊や汚染などを伴う開発だけでなく、そうした開発を否定することさえも当事者であるワオラニの頭越しで進められ、結果だけを押しつけられてしまいがちであるという指摘です。ワオラニの人々の中には石油会社の事務所へ行き、そこのセスナに便乗させてもらう人々や、町にある石油企業のオフィスへ行って薬やお菓子をねだる人々もいるそうです。今は環境破壊を引き起こす石油開発ばかりが批判されていますが、そもそもなぜワオラニの人々は定住化して生活を変え、外部社会がもたらす医薬品、食糧、嗜好品、交通手段に依存するようになったのでしょうか、彼らが望んだことだったのでしょうか、という問いでもあります。

3つ目は、ワオラニ社会と異なる外部社会と、今後ワオラニの人々はどのように接していくべきかという点です。この点からは、外部への依存あるいは従属的な関係性について整理して考えてみる必要性、参加型開発の是非、ヤスニITTイニシアティブが誰のためのプロジェクトなのかということも考えてみる必要があると指摘されました。

遠く離れた日本から見ていると、国際的な時流に沿ったマクロな見方、キャンペーンの目的に沿った視点、そして私たちが持った文化的イメージや限られた情報に沿った判断などによって物事を見ることが多いですが、今回のお話は地域で起こっている多様な変化と現実に加え、歴史的な経緯もよく分かり、なかなか単純には語れない地域開発の状況と先住民族の「あるべき」暮らしについても考えさせられました。

当日は15名ほどの方々が参加しました。お子さんがエクアドル留学中でたまたまネット検索でこの講演会を知ったというご夫婦や、社会学や文化人類学を勉強中の学生さん、先住民族NGOのスタッフなど、いろいろな方が参加してくれました。講演会が終わった後も、あちこちで会話の花が咲いて良い交流が持てたと思います。

次回の予定や内容は現在検討中ですので、決まり次第こちらのブログにアップします。

また、ヤスニやヤスニITTイニシアティブについて知りたい、聞きたい、こんな勉強会をしてほしいなどご意見があれば、お気軽にメールしてください。

kouen■ni-japan.com (■を@に換えてください)

【2・18】ヤスニITTを<知る>入門講座 第1回 ~ 先住民ワオラニの生活と社会変容

【2・18】ヤスニITTを<知る>入門講座 第1回
今回のテーマ:先住民ワオラニの生活と社会変容

南米アマゾンの自然と先住民の暮らしを守る取り組みとしてだけでなく、石油に依存した現代消費社会や従来型の開発援助政策、そして成長一辺倒の経済政策にも一石を投じる大胆な提案として注目を浴びているヤスニITTイニシアティブ。このイニシアティブはどんな背景から生まれ、いかなる手段で何を目指しているのか・・・・・・

この「ヤスニITTを<知る>入門講座」は、ヤスニITTイニシアティブにまつわる基本的な事柄を知るための講座です。こぢんまりとしたカフェでゲストを招いて話を聞き、一緒に考え、分からないことも遠慮なく質問できる集まりです。エクアドルのことも石油のこともあまりよく分からないという方も気軽に参加して、この新しい取り組みとその舞台となる地域について発見してみませんか。

ヤスニITTイニシアティブとは
2007年にエクアドルのコレア政権が打ち出した政策。アマゾンの自然と先住民族の暮らしを守り、地球温暖化抑止に寄与することを目的に、ヤスニ自然保護区内のITT鉱区の地下に眠る石油の開発を放棄する代わりに国際社会が補償金を支払うことを求めている。ITTの石油埋蔵量は8億4,600万バレルと推定されており、この石油を採掘して売れば72億ドルの収入がエクアドルにもたらされる。しかしこの政策では、石油を採掘しない代わりに、国際社会にこの石油収入の半分にあたる36億ドルを13年間で拠出することを求め、エクアドル負担分の資金と合わせ、エクアドル国内における再生可能エネルギープロジェクトに使うことが提案されている。2011年末時点で1億ドルを超える資金が国際社会から寄せられている。

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第1回「先住民ワオラニの生活と社会変容」の内容

エクアドル・アマゾンにおける石油開発は、先進国を中心とする石油の消費者と石油企業に快適な生活と富をもたらす一方で、世界有数の多様性を誇る動植物に深刻なダメージを与えてきました。つまりヤスニITTイニシアティブは、環境破壊に対する国際社会の責任を問い、国際社会に対してアマゾンの森林を保護するための費用負担を求めていると解釈することができます。しかしこのイニシアティブ自身とそれをめぐる議論の中でも、アマゾンに暮らす先住民については、文化の尊重や開発からの保護の必要性は訴えられているものの、その生活や社会がこれまでの開発によっていかに変容してきたかなどの点については詳しく語られていません。

そこで今回の勉強会では、ヤスニITTイニシアティブの背景を知るために、ヤスニ自然保護区一帯に居住する先住民ワオラニの社会、文化、歴史をテーマとして取り上げます。先住民ワオラニの社会と開発のインパクトについて理解を深めるとともに、エクアドル・アマゾンにおける開発現象の複雑さについて一緒に考えたいと思います。

【ゲスト】 千代勇一(上智大学イベロアメリカ研究所準所員)
文化人類学、ラテンアメリカ地域研究を専攻し、これまでにエクアドル、コロンビアなどにおける開発現象の調査・研究に従事する。エクアドル・アマゾンにおいては、ワオラニ居住地におけるエコ・ツーリズムの調査研究を行う。

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日時:2月18日(土)15:00~17:00頃
場所:カフェ・ラバンデリア東京新宿区新宿2-12-9 広洋舎ビル1F)
 ※参加費は無料ですが、ワンドリンクのオーダーをお願いします。
主催:ヤスニITTイニシアティブ講演会実行委員会
http://yasuni.blog.so-net.ne.jp
連絡窓口:ニュー・インターナショナリスト・ジャパン
kouen[a]ni-japan.com ([a]を@に換えてください)

良品計画がヤスニITT信託基金に20万ドルを寄付

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書類に署名する在日エクアドル大使館のレオナルド・カリオン大使(左)と良品計画の金井政明社長

無印良品でおなじみの株式会社良品計画が、ヤスニITT信託基金に20万ドルを寄付することを発表し、2011年12月27日に東京でその調印式が行われました。

これは、ヤスニITTイニシアティブを支援するために国連開発計画(UNDP)の運営基準協定によって開設された信託基金口座を通じ、良品計画からの資金をヤスニITTイニシアティブの委任事項取り決め書(TOR)と資金管理者管理の下で支援に役立てることに合意するものです。

共同通信の英語ニュース

良品計画のプレスリリース

良品計画の金井政明社長は今回の寄付について、企業として社会全般に何か役立つ活動をするという方針に合っており、また社員にも会社の方向性を示せるものだと思った、と言っていました。

また、無印良品のウェブサイト内に、ヤスニITTイニシアティブに寄付できるコーナーを作るそうです。

エクアドル大使館によれば、ヤスニITTイニシアティブに対する日本企業の寄付は同社が初めてだそうです。

これを機に他の日本の企業にも、石油依存工業生産と使い捨て消費社会からの転換という課題についてより幅広い視野で考えてもらいたいですね。

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調印後に握手をする金井政明社長(右)、レオナルド・カリオン大使(中)、UNDP東京事務所の八木浩治次席代表

【ご報告】アマゾンを石油に沈めないために~エクアドル・ヤスニITTの挑戦とグローバル市民社会の責任

今回の講演会「アマゾンを石油に沈めないために~エクアドル・ヤスニITTの挑戦とグローバル市民社会の責任」ですが、おかげさまで50名ほどの方々にお越しいただき無事終了しました。当日は『オルタナ』誌の方が取材に来ており、以下の報告をアップしてくれました。

「南米の産油国エクアドルが油田を放棄し、脱石油社会を目指す構想」(オルタナ2011年11月14日)

講演会ですが、まずは講演会の趣旨説明&問題提起の後に、ヤスニに関する動画を2本上映しました。

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次に、大使館の方々からの講演がありました。このヤスニITTイニシアティブを推進しているエクアドルの駐日臨時代理大使、ボリバル・トーレス・セバージョスさん、大使館員のハビエル・エグエス・ゲバラさん、商務参事官のパルリーナ・ヒメネズさんから、このイニシアティブについて説明していただきました。

そしてその後、神奈川大学の新木秀和先生(専門:ラテンアメリカ地域研究)と上智大学の高島亮先生(専門:国際関係学)がそれぞれコメントを述べ、トーレス大使がそれに答えるという形で進みました。

最初のトーレス大使の講演は、このイニシアティブがめざす目的、ヤスニの自然とそれが置かれた状況についてでした。イニシアティブの目的として、「開発モデルの変革」「先住民族の暮らしの保護」「生物多様性の保護」「温暖化ガス排出削減」を挙げていました。それはつまり、これまでの自然を搾取していた社会から持続可能な社会に変えていくことであり、現在の世代だけでなく未来の世代にも良いことだと力説していました。

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また、ヤスニの自然がいかに豊かで貴重なものであるのか、そして、石油開発が行われた場合にはどのようなダメージを受けるのかについても説明がありました。さらには、石油開発は環境だけでなく、例えば自立的な経済の生産性の喪失、地域社会の崩壊、国境付近の争乱の増加、先住民族の文化の絶滅など、地域の経済、社会、政治、文化にとっても打撃となることも述べていました。

その次の大使館のゲバラさんからは、二酸化炭素排出量と世界の共同責任という視点から話がありました。資料として示された世界各国の1人あたりの二酸化炭素排出量を見ると、先進国では1人あたりの量が多いことが分かります*。その上でエクアドルは、国際環境法の共同責任の原則に基づき、ヤスニITTで石油開発をした場合に見込まれる収益約70億ドルの半分以上にあたる36億ドルの自国での確保にはすでにめどをつけ、残りの半分にあたる35億ドルの負担を国際社会に依頼するということが、このヤスニITTイニシアティブの基本的な考え方だとのことでした。

 *参考:当日示された資料とは異なりますが、「全国地球温暖化防止活動推進センター」のグラフを見ると、それがよく分かります。例えば中国やインドの国としての排出量は大きいですが、1人あたりが出している二酸化炭素の量は、先進国に比べるとまだまだ少ないのです。(こちら


また、国際社会からの資金は、再生可能エネルギープロジェクトなどに使われますが、すでに風力や地熱発電プロジェクトなどが一部スタートしているとの説明もありました。

ヒメネズさんからは、国際社会からの出資金&寄付を預かる国連開発計画のヤスニITT信託基金への出資方法について説明がありました。2ドルから5万ドル未満は「寄付」と見なされますが、5万ドル以上は「出資」としてCGY(ヤスニ保証書)が発行されます。CGYには利子はつきませんが、エクアドルが約束をほごにして石油開発を始めない限り、CGYには満期も償還期限もありません。出資&寄付については次のサイトから行えます。
・2ドル~5万ドル未満クレジットカード寄付→こちら
・5万ドル以上の出資(PDFによる英文説明書をご覧ください→こちら

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大使館の方々の講演後、休憩をはさんで新木先生と高島先生にコメントをいただきました。

新木先生が気にされていたのは、グローバルな視点から注目を浴びているこのイニシアティブですが、現地の人々の声があまり届いていないということでした。もともとこのイニシアティブの提案は、市民社会から出てきたものなのです。

また現地では、ヤスニITT地区のすぐ横やアマゾンの他の地域でも石油開発が行われているという現実があります。そんな中、ヤスニITT地区だけが例外とされ、それが他の場所の開発の免罪符のようになってしまう恐れについても指摘していました。

そして新憲法との整合性に関する懸念もありました。エクアドルは2008年、もともと存在していた先住民族の権利に加え、「自然の権利」を明記した画期的な新憲法ができたとのことですが、それが守られるのかということです。

また、世界遺産のガラパゴスがかつて危機遺産となってしまった原因(地元の利害、国の政治の動き、国立公園の機能不全等による社会紛争の頻発)を挙げ、ヤスニはその二の舞にならないように、ローカル、ナショナル、グローバルの各レベルでの状況をよく考える必要があるとのことでした。

高島先生も地元の人々の声を聞く重要性を指摘していました。その理由として、開発が厳しく制限されたあまりに、地元の人々が木も伐採できず農業も許されなくなり、生活に支障をきたしたというブラジルで実際に問題となった例が紹介されました。

資金が十分に集まっていないことに関しては、エクアドル側でできる出資者のインセンティブを高める試みとして、アマゾンでのモニタリングや情報開示を徹底していくことを例として説明していました。

地球環境の費用と便益という観点からは、これまで世界が恩恵を受けながらもその費用の一部しか払ってこなかったという現実があるため、このイニシアティブはその費用と便益を考えるきっかけを与える画期的な取り組みであると述べていました。

国際社会への発言力を強める方法として、資源を持った他の国々と協力して国際的な枠組みを構築することや、資源を持たなくても先進国の大量生産&消費によって被害を受けている国々とも協力を進めることで発言力強化を図る方法もあるとのことでした。

トーレス大使はコメントを受け、ヤスニITTイニシアティブには、これまでのエクアドルの石油依存の姿勢を変え、ヤスニに住む先住民族の生活を守ることも含まれことを説明しました。

そしてまたイニシアティブは、政府だけのものではなく国民すべてのものであること、エクアドルに住むすべての国民が政治的決定に関わっていくと述べました。

ガラパゴスとは類似点も異なる点もあることを説明。

炭素取引については、イニシアティブは商業市場には介入していかないことを目的としているので、排出量売買については考えておらず、新しいものを提言していきたいとのことでした。

またトーレス大使は、イニシアティブは天然資源を守っていくことを目標にしており、天然資源の消費については供給側と消費側が一緒に考えていく必要があり、日本とラテンアメリカの相互理解をもっと深める必要も訴えていました。

この講演会のような機会はお互いの相互理解のために有益で、このような活動を続けていくことで国際社会がより良い理解を深めていくことができると思うとも言っていました。そして最後に、これから解決していかなければいけない問題もあるが、日本の皆さんにも自然を守っていくという活動に理解を示していただき、ぜひこの活動に参加してほしい、と訴えていました。

以上が大まかな内容です。講演を記録した音声ファイル(MP3)がありますので、
詳細はこちらでお聞きください。

Yasuni111112-1.MP3(前半:最初からトーレス大使の話まで)
Yasuni111112-2.MP3(後半:新木さんのコメントから最後まで)

11月12日(土)【11・12】アマゾンを石油に沈めないために--エクアドル・ヤスニITTの挑戦とグローバル市民社会の責任

yasuni_01.jpg【日時】2011年11月12日(土) 14:00~17:00
【場所】上智大学中央図書館 8階 L-821
【交通】JR・東京メトロ「四ツ谷駅」麹町口・赤坂口から徒歩3分。正門から入ってまっすぐ進み、十字路で右に曲がって進むと左手に図書館があります。(地図

【講演】
 ボリバル・トーレス
 駐日エクアドル臨時代理大使

 講演の後、有識者によるコメントも予定しています

※参加費・申込み不要
フライヤー(カラー版モノクロ版

 エクアドル北東部のアマゾンに位置するヤスニ国立公園は地球上で最も生物多様性に富んだ地域の一つであり、外界との接触を持たない先住民族の居住地でもあります。

 これまで外貨収入の約6割を石油に頼ってきたエクアドル政府は、2007年以降、この地に埋まっている8億4600万バレルの石油を掘らないまま社会を発展させる方法を模索してきました。

 「ヤスニITTイニシアティブ」と名付けられたこのプロジェクトは、ヤスニ鉱区の石油開発を放棄し、そのかわりに自国と国際社会から総計72億ドルの基金を集め、環境と先住民族の生活に配慮した開発政策に充てることを目的としています。

 現代的な生活をおくる中で、日々、私たちは様々な資源を消費しています。その背後で、採掘地域での森林伐採や大気汚染、公害、先住民族の追い出しや現地コミュニティの崩壊、搾取労働などが繰り広げられていることは事実です。

 日本でも、とりわけ東日本大震災に伴う原発事故以降、原発労働者の過酷な労働環境が注目を浴びるようになってきました。誰かの犠牲の上に成り立っているエネルギー社会のあり方を問い直し、異なる道を探すのは私たちの責任でもあるのではないでしょうか。

 2011年末と定められたヤスニ基金の設立期限が迫ったいま、駐日エクアドル大使館から講演者を招き、石油に頼らない社会をどのように実現してゆくか、考えていきたいと思います。

【主催】上智大学グローバル・コンサーン研究所
     東京都千代田区紀尾井町7-1  
     Tel: 03-3238-3023 E-mail:i-glocon@ophia.ac.jp
     HP: http://www.erp.sophia.ac.jp/Institutes/igc
【協力】ヤスニITTイニシアティブ講演会実行委員会
    HP: http://yasuni.blog.so-net.ne.jp/
    連絡窓口:ニュー・インターナナショナリスト・ジャパン
    TEL/FAX 042-498-3126

【紹介】アマゾン守る試み窮地 生物の宝庫に眠る大油田:「朝日新聞」夕刊11月7日~10日連載記事

11月5日~10日「朝日新聞」夕刊に、「アマゾンを守る試み窮地 生物の宝庫に眠る大油田」と題して、ヤスニ国立公園ITT地区を訪れた行方史郎アメリカ総局特派員の記事がカラーで連載されました。asahi.comのウェブ版では冒頭の一部以外は有料配信になっています。

アマゾン守る試み窮地 生物の宝庫に眠る大油田(asahi.com 2011年11月5日15時26分)

Yasuni-ITT信託基金とUNDP寄付サイト

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いますぐ寄付する!⇒UNDPの寄付サイト(英語)へ

「ヤスニITT イニシアティブ」とは、生物多様性の宝庫であるエクアドルのアマゾン地域にあるヤスニ国立公園内のイシピンゴ・ティプティニ・タンボコチャ(ITT)地区に眠る8 億4,600 万バレル(石油収入で72 億ドル相当)の石油の採掘を中止し、ローカルとグローバルへの悪影響を回避することを目的としたプロジェクトです。

石油採掘を放棄する代わりに、採掘した場合に見込まれる石油収入の半分をエクアドル自身が拠出、そしてもう半分を各国政府や国際機関、企業、個人、市民団体から募り、国連開発計画(UNDP)が管理する「ヤスニITT基金」として活用します。基金は、エクアドル国内で持続可能な社会を目指すための再生可能エネルギーや社会開発のプロジェクトに活用される予定です。

しかしエクアドル政府は、2011年末までに当初資金として1 億ドル(約78 億円)が集まらなければこの計画を取りやめ、石油採掘を始める可能性にも言及しています。これまでにチリから連帯表明の意味を込めた10万ドル、スペインからは140万ドル、ベルギーのワロン地域政府から41万5,000ドル、イタリアはエクアドル政府の借金とのバーターで3,500万ドルの支援を申し出ています。UNDPでは広く国際社会からの寄付を募るために、寄付サイトを立ち上げています。

・UNDPの寄付サイト(英語)はこちら
・Yasuni-ITTイニシアチブ及び信託基金に関するUNDPの説明(日本語)はこちら
Yasuni_ITT_Trust_Fund.JPG
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【紹介】アマゾンの石油を掘るべきか掘らざるべきか ― エクアドルの厳しい選択

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PHOTO: Mauro Burzio / Gobierno Municipal de Francisco de Orellana

New Internationalist Blog掲載のエスメ・マカヴォイの記事"Oil or life? Ecuador's stark choice"を日本語翻訳したものです。
◆こちら→アマゾンの石油を掘るべきか掘らざるべきか ― エクアドルの厳しい選択

Yasuni ITTイニシアチブに関するハイレベル会合


国連webcastのページより

コレア大統領のスピーチ原稿(スペイン語)

この会合について「ラテンアメリカの政治経済」ブログが日本語で紹介しています。Muchas gracias!
ラファエル・コレア:ヤスニITT提案が大きな成果(9月23日)

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